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外国為替アナリスト内田稔のコメント「ドル円、一昨年の高値更新も視野」
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執筆アナリスト
FDAlco
外国為替アナリスト内田 稔
うちだ みのり
12月以降の振り返りと見通し
2025年はドルと円がともに軟調に推移した結果、ドル円は年始と同水準で越年した。ただ、相対的に他通貨が堅調に推移した結果、クロス円が上昇。ユーロ円やスイスフラン円は史上最高値を更新した(図1)。
利下げを重ねた海外中銀とは対照的に日銀が利上げをした中で進んだ円安は、実質金利(=名目金利-インフレ率)の水準が為替相場に強く影響した可能性を示唆している。実際、日本の実質政策金利は相対的に低い上、大幅なマイナス圏にある(図2)。
このマイナス幅が顕著に縮小しない限り、即ち日銀の利上げとインフレ率の低下が続かない限り、円相場の反転は展望しづらい。また、高市政権の「責任ある積極財政」が、国債買い入れを徐々に減らす日銀の政策と相まって国債の需給悪化懸念を招いている。長期金利上昇のけん引役がタームプレミアム(=投資家が相場変動リスクに対して求める対価)の拡大だけに、27年ぶりの水準に達した長期金利が為替市場では「悪い金利上昇」と映っている模様だ。政策金利(短期金利)と長期金利の上昇が必ずしも円高圧力とはなっていない構図に留意を要する。
当面の見通し
解散総選挙が見込まれる中、積極財政路線が続くとの見方から、長期金利の上昇と円安が連想されやすい。本邦の円買い介入への警戒も次第に高まるとはみられるが、ドル円は堅調に推移しそうだ。その上、米ドルにも持ち直しの兆しがみられる(図3)。
パウエルFRB議長は昨年12月のFOMC後、年明け1月の利下げ見送りを示唆したが、労働市場の悪化が続く中、3月利下げが濃厚だ。その上、次期FRB議長就任後の初会合(6月)にて利下げが決まるかも知れない。ただ、市場は既に年内2度の利下げを完全に織り込んでいる。寧ろ今年は米国の利下げ休止が次第に意識され始めるとみられ、そうなればドル指数もじり高に転じよう。総合的にみてドル円は160円を巡る攻防へと移行し、一昨年の高値(161.95円)更新も視野にとらえるのではないか。もっとも、相互関税に対して米最高裁が違憲判決を示す可能性が取り沙汰されている。先の円買い介入と合わせ、ドル円相場の乱高下は必至と言える。
2026年1月14日、日本時間9時脱稿
内田稔うちだ みのり
株式会社FDAlco外国為替アナリスト、高千穂大学商学部教授(専門は国際金融論、外国為替)、公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員
1993年、慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行後、一貫して市場部門に在籍。2011年4月から2022年2月までチーフアナリストを務め、2022年4月から現職。金融専門誌J-MONEYの東京外国為替市場調査では2013年から9年連続アナリスト部門個人ランキング第1位。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本金融学会および日本ファイナンス学会会員。テレビ東京ニュースモーニングサテライト、ロイターコラム外国為替フォーラム、プロピッカー(News Picks公式コメンテーター)などメディアでの情報発信も多数。
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