怖くても大丈夫!資産運用を始める前に知っておくべきこと

INTERVIEW

さまざまなところで『インフレ』、『円安』といった言葉を見聞きする機会が増えており、将来への不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
将来のための資産形成の手段として資産運用に関心を持たれる方は年々増加しており、特に20代、30代の資産形成層を中心に投信口座の開設数が増えています。
さらに、NISA制度が『家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増につなげるため』2024年度からより使いやすい新NISAに変更となることから、これまで以上に資産運用について前向きに考える方が増えている印象です。
一方で、資産運用に関心はあるけれど、なかなか始められないという方からのご相談もまだまだ多くあります。
資産運用を始めるために考えるべきポイントについて、金融教育家である塚本 俊太郎 氏にお話を伺いました。

インタビューした専門家

金融教育家塚本 俊太郎
つかもと しゅんたろう

01

資産運用の『損をする』とは?

―資産運用をなかなか始められない理由として、『損をするのが怖い』という方が多い印象です。資産運用の『損をする』ということについてどのように考えればいいでしょうか?

損をしたくないという気持ちはよく分かります。
『損をする』というと、なんとなく全部無くなってしまうというような感覚を持たれている方も多いのではないでしょうか。
例えば、株式投資の振れ幅(リスク)はプラス25%~マイナス25%くらい。リーマンショックのような100年に一度のような場合であれば、マイナス50%くらいに下がることもありますが、全部無くなってしまうということはありません。まずは、このような相場勘を持っていただくことが大切です。

株式の利回りはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の推計では7.2%、もちろん上下に振れ幅はありますが(場合によっては25%程度)、その振れ幅を乗り越えていくための方法として、『長期』・『積立』・『分散』の考え方で資産運用を検討するといいと思います。
つみたてNISA で20年間資産運用を続けることができれば、プラスになる可能性は大きい。「長く続ければある程度の変動は乗り越えられる」と知っていただくことも安心につながると思います。

02

『投資』・『投機』・『ギャンブル』の違い

―資産運用をギャンブルのようなものだと考えられている方もいますよね。

『投資』と『投機』と『ギャンブル』は違うということきちんと理解してもらうことが大切です。
例えば『株式投資』であれば、株を買った資金が企業に渡って、その企業が工場を作り、そこで従業員を雇って新しい商品を作って、それが売れて利益が出てその利益の一部が還元されるという仕組みです。そもそも企業は損を出し続けるような形で運営されていないので、基本的には期待値はプラスです。
しかし、『投機』は短期間で安く買って高く売ろうという考えであり、価値を生み出すわけではない。例えば、1億円儲かった人がいれば、その裏側で1億円損した人がいるので、期待値は基本的に±0です。
『ギャンブル』の場合、例えば競馬であれば、みんなが馬券を買って集めたお金の中から手数料が25%引かれて、残りの75%が払戻金となるため、期待値はマイナスになります。
『投資』・『投機』・『ギャンブル』の違いをきちんと理解すると、将来に向けての資産形成として投資はした方がいいけど、投機やギャンブルはしないほうがいいよね。もし、するんだとしてもエンターテイメントの範囲で、という風に理解してもらえると思います。

03

投資のタイミング

―『資産運用は怖いものではない』ということが理解できると、次に気になるのは投資のタイミングだと思います。今から資産形成をしていく場合は『積立』を検討される方が多いと思いますが、ある程度まとまった資金がある場合の投資のタイミングについてはどうでしょうか?

投資成果を『金額』×『利回り』×『期間』とすると、投資金額が最初から大きい方が効率はもちろんいいです。ただ、資産運用を開始してすぐに、例えばリーマンショックのような市場の大きなショックがあって、マイナス50%になってしまった場合に「もともと長期投資で始めたんだから大丈夫」という風にメンタルが維持できるかどうかを考える必要があります。
「大丈夫」だと思えるのであれば、最初から大きな金額で始めてもいいと思います。
ただ、例えば、退職金のような大きな金額をまとめて投資に回して、大きく下がった場合には、そういう風に考えることが難しい場合なんかも多いですよね。

ご自身が「大丈夫」だと思っていても家族がそう思わない場合もあります。そういった場合、運用をやめてしまうことにつながる可能性が高くなります。 市場が大きく下がって、その後回復したという経験があれば、大きく下がったタイミングでも自信をもって持ち続けることができるけど、そのような経験がない場合、とくに初心者の方は『長期』・『積立』・『分散』で、最初は小さい金額からスタートするのが大事なんじゃないかなと思います。 基本的に、長くゆっくり増やしていくという考えのもと、最初からあまり焦って急ぎすぎないようにすればいいと思いますよ。

―やはり長く続けることが大切なんですね。

そうですね。例えば、つみたてNISAであれば非課税期間は20年間。
景気のサイクルの良い悪いが大体10年くらいで一周することを考えると、非課税期間の20年で景気のサイクルを2周するイメージです。
20年スパンで考えると、この半年、1年でどうするかっていうことであたふたするのはあんまりそぐわないんじゃないかと思います。

―○○ショックのようなことが起こった場合はどうでしょう?

そういった場合でも、ある程度、積立で経験を積むことで「こういう動きなんだ」ということを理解してもらえると思います。
○〇ショックが起きた時も、まず投資を継続するというのが正しい行動です。積立投資であれば、大きく下がったときには安く買えるので、将来的に価格が戻ればその分リターンが高くなりますよね。そういった意味でも、メンタル的に継続しやすいと思います。

04

自分に合った金融商品とは?

―実際に運用を始めるにあたって、自分に合った金融商品はどのように選べばいいのでしょうか?

『長期』・『積立』・『分散』に合った投資商品がいいと思います。
例えば、つみたてNISAで採用されている株式のインデックス型の投資信託で、分散投資ができていて低コストの商品。投資対象が全世界なのか、S&P500なのかは、そのあたりは好みで選べばいいと思います。
ただ、どの商品を選ぶにしても、投資信託を購入する金額を自分の資産全体の中でどれくらいにするか、一時的に大きくマイナスになっても耐えられる額はどのくらいかをよく考えて運用することが大切だと思います。
あとは、どのくらいの期間投資できるかによっても選ぶ金融商品は変わってくると思います。投資期間が20年、そうでなくても10年以上、このくらいの期間置いておけるお金があるんだったら、株式ファンドを買うといいと思います。

逆に、10年も置いておけないということであれば、預金や国債など流動性のあるところに置いておくことで管理しやすくなると思います。

―バランスファンドではなく株式のインデックスファンドの額で調整するということですね。

自分が許容できる変動幅をバランスファンドへの投資額で調整するか、株式インデックスファンドや国債・預金への投資額で調整するかという選択肢がありますね。長期で投資できるお金は株式インデックスファンドに投資して、値動きを抑えたければその金額を減らすという方が分かりやすいと思います。

―売れ筋ファンドを購入することについてはどうお考えですか?

つみたてNISAの購入金額ランキングや積立設定ランキングであれば、低コストのファンドが上位に来る傾向があるのでその中から選んでも大丈夫だと思います。 ただ、一般的な投資信託の売上ランキング、残高ランキングは、金融機関が販売に力を入れているものが上位に来やすく、それが投資家の皆さんにとっては必ずしもいいものとは限らないので、あまり参考にしないほうがいいと思います。

05

アドバイザーの選び方

資産運用に関する様々な情報がインターネットやSNSに溢れていますが、運用を始めるにあたって参考にすべき情報や相談場所についての考えを教えてください。

手っ取り早く情報を集めようと思ったら、Googleで検索するか、YouTubeで検索して、視聴回数が高いものを見て検討する方が多いと思いますが、投資に関して言えば、それは必ずしも正解ではないと思っています。 YouTubeの再生回数が多いものは動画としては面白いんだけど、必ずしも言っていることが正しいとは限らない。一番最初は公平中立なところ、例えば金融庁や知るぽると(知るぽると:金融広報中央委員会 (shiruporuto.jp))のようなところから情報をとってくるといいと思います。私が制作に携わった高校生向けの金融経済教育指導教材なんかは大人でも学べる内容になっています。 そういったところで、基本的な情報を身に着けたうえでYouTubeなどの動画を見てみると、『言っていることが怪しいな』とか『これは正しいことを言っているな』という風に情報の取捨選択ができるようになると思います。

―基本的な情報を身に着けることで、様々な情報から自分にとって有益な情報を選びやすくなるということですね。では、信頼できる相談場所・アドバイザーについてはどうでしょう?

例えば、服を買う場合、お店に行って、お店の人と相談して自分に合っているかどうかを考えて決めますよね。ただ、金融商品に関して言うと、本当にそれで大丈夫なのか?を考える必要がありますね。
金融機関に行って相談するというのは意外と難しいと思っていて、手数料が高い商品を売ると金融機関は儲かるけど、お客さまは損するという利益相反が生じる可能性がありますね。
そういう意味では、利益相反がない人、例えば金融商品を販売していないファイナンシャルアドバイザーのような人に相談するのはいいと思います。無料相談だと、時間を使ってサービスを提供するための対価が必要になるので、『モノを売られる』、『商品を提案される』ということがあると思いますが、有料の相談であれば、対価を支払っている分、きちんとお客様目線での相談ができる。利益相反がない相談相手に相談するというのが大切だと思います。

06

まとめ

  • 資産運用の振れ幅を乗り越えていくためには『長期』・『積立』・『分散』の考え方が大切
  • 『投資』の期待値はプラス!『投機』や『ギャンブル』とは異なることを理解しましょう
  • 長期目線で考えるのであれば、投資のタイミングは気にしない!手元に資金があるときが投資のタイミング
  • 長期運用に合った商品(例:低コストの株式のインデックスファンド)を選びましょう
  • アドバイザーを選ぶ際のポイントは『お客さま目線で相談できること』、『利益相反がないこと』
将来の安心のための資産形成の手段として、資産運用を取り入れることを検討しましょう!
お客さま目線での資産運用の相談についてより具体的に知りたい、相談しながらライフプランをふまえた資産運用を考えたい方は、ぜひFDAlcoまでご相談ください。

塚本俊太郎(金融教育家)

20年超外資系運用会社で勤務したのち、2020年に金融庁へ入庁し金融教育担当として高校・大学・社会人向けに授業を行う。高校家庭科での金融経済教育指導教材や小学生向け「うんこお金ドリル」の作成を担当。現在はフリーランスの金融教育家として金融リテラシーや資産形成について発信・寄稿・講演を行う。
Eテレ「趣味どきっ!」に3月1日(水)21:30から4週にわたり「金育」をテーマに出演。
日本金融教育推進協会理事
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慶応義塾大学総合政策学部卒業
シラキュース大学大学院国際関係論修士卒業

株式会社FDAlco 免許・許認可:金融商品取引業(投資助言・代理業)北陸財務局長(金商)第26号/加入協会:一般社団法人 日本投資顧問業協会